事業開始日の認識誤りで消費税還付が受けられなかった事例

【知らなかったで済まない事例】

個人事業主の場合の「事業開始の日」は、下記にあるように、

「事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間も「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当する」となっています。

事例で考えますと、

①2021年8月 住宅用でないテナントビルの建築工事の請け負い契約締結

②2022年5月 テナントビルの引き渡しを受け、事業供用開始

同月 事業開始の届出、2022年から適用として消費税課税事業者選択届を税務署へ提出

これだと、2022年の確定申告で消費税の還付は受けれません。

事業開始の日は、2021年となるため、2021年に事業開始の届出及び消費税の課税事業者選択届出書が提出されていない限り、2022年は、基準期間(2020年)の課税売上高は0円であるため免税事業者となるからです。

 

(参考)

事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当するとした事例

▼ 平成24年6月21日裁決

《要旨》
請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」は、請求人が医院(本件医院)を開業する意思決定後の全ての準備行為を行った日が含まれるのではなく、課税資産の譲渡等を行うために必要な資材や商品に係る仕入れなど、それ自体が課税仕入れに当たる一定の準備行為を行った日のみが該当するとし、本件医院の建物に係る建築設計・監理業務委託契約(本件契約)に係る課税仕入れが発生した日は設計の完了日又は監理業務の完了日であることから、これらの日の属する課税期間(本件課税期間)が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間である旨主張する。
しかしながら、事業者が新たに事業を行うに当たっては、当該事業を遂行するために必要な準備行為を行うのが通常であるところ、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項の趣旨に照らせば、事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間も「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当すると解するのが相当である。そして、事業を遂行するために必要な準備行為であるか否かは、必ずしも個々の行為だけではなく、一連の行為を全体として判断すべき場合もあるところ、請求人は、本件課税期間開始前から、事業に使用するための材料及び器具の購入を繰り返し行うとともに、本件医院を建築するための本件契約を締結しており、このことは請求人の事業開始に向けた一連の行為の一部であって、これら一連の行為が全体として事業に係る準備行為であると認められるから、「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間は、事業に使用するための材料及び器具の購入の開始日の属する課税期間(本件課税期間の前課税期間)とするのが相当である。

《参照条文等》
消費税法第9条第4項
消費税法施行令第20条

 

※当サイトのコンテンツや情報において、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めています。しかし、誤情報が入り込んだり、情報が古くなったりすることもあります。必ずしも正確性を保証するものではありません。

Contact

GFE税理士法人へのご相談はお気軽にどうぞ。

TEL本社:0267-31-0152 TEL今井事務所:0266-78-8237
受付時間/平日9:00~17:00 お問い合わせフォーム