消費税率10%時から住宅取得資金の贈与税非課税枠を拡大

税務通信(2019.9.23)

消費税率10%時から住宅取得資金の贈与税非課税枠を拡大

(住宅ローン控除と併用する場合は適用誤りに注意)

今年10月の消費税率10%への引上げに伴い,直系尊属から住宅取得資金等の贈与を受けた場合の非課税特例における非課税限度額が拡大する( 措法70の2 等)。

同特例を適用する場合には,受贈者としての所得要件の確認漏れや,住宅ローン控除と重複適用した際の計算などの“適用誤り”に注意。

特別住宅資金非課税限度額を適用

住宅取得等資金の贈与税の非課税特例(非課税特例)については,平成27年1月1日から令和3年12月31日までの間に直系尊属からの贈与により,その年の1月1日において20歳以上である受贈者が自己の居住の用に供する住宅取得等資金を取得した場合に,一定の金額まで贈与税が非課税となる( 措法70の2 )。

このうち,住宅用の家屋の新築等に係る契約の締結日が平成31年4月1日から令和3年12月31日までの間の契約で,かつ,住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%であるときに限り,通常の住宅資金非課税限度額(下表①)よりも非課税枠が大きい「特別住宅資金非課税限度額」が適用される(下表②)。

特別住宅資金非課税限度額については,「省エネ等住宅」と「それ以外の住宅」の区分に応じて,従来の非課税限度額よりも多い金額が手当される( 措法70の2 ②七)。なお,省エネ等住宅は,省エネ等基準に適合する住宅用の家屋であることにつき,住宅性能証明書等などを贈与税の申告書に添付することで証明されたものをいう。

非課税特例は,新築又は取得した住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下で,かつ家屋の床面積の2分の1以上が居住の用に供され,贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住すること等を要件としている。贈与税の計算に当たり,特別住宅資金非課税限度額を適用後の残額について,暦年課税の場合は基礎控除(110万円)を適用することができ,相続時精算課税の場合は特別控除(2,500万円)を適用することができる( 相法21の9措法70の2の670の3 等)。

なお,同特例と住宅ローン控除を併用する場合には,贈与された住宅取得等資金を「住宅の取得価額等」から差し引く必要があるが,住宅の取得価額等を差し引かずに住宅ローン控除額を適用する計算誤りについて1万件以上の指摘があった( №3536 ・8頁)。

非課税特例については,平成27年度改正で「特別住宅資金非課税限度額」が導入されたが,平成29年4月1日に予定されていた消費税率引上げ時期の延期に伴い,導入時期が2年延期する等の措置が講じられたうえで,適用期限も2年半延期されている。

受贈者ごとの非課税限度額
住宅用の
家屋の新築等に
係る契約の締結日
①右記以外の場合 ②住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
省エネ等住宅 左記以外の住宅 省エネ等住宅 左記以外の住宅
※令和2年3月31日まで 1,200万円 700万円 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日から
令和3年3月31日まで
1,000万円 500万円 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日から
令和3年12月31日まで
800万円 300万円 1,200万円 700万円
契約の締結日について,①の場合は平成28年1月1日から,②の場合は平成31年4月1日から。

 

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